Opstilling (Still Life)

デンマークの画家Helge Ernstによる「並ぶ」を表題にした抽象画です。
近視すると、下書きで細部まで画面を分割し、意図的に色を配置していることがわかります。幾何学的な構図の一方、筆のタッチは凹凸があり、色合いと相まって温かみが伝わってきます。ワインボトルと思われる事物のラベル上にジグザグの跡が見られるなど、遊び心も感じさせます。
理論に基づいたデザインと、ぬくもりのある雰囲気の融合は、どこか同時代に製作されたデンマーク家具とも共通した特徴のように思います。
無垢材で誂えたと思われる額も絵を引き立たせており、画家の世界観が魅力的な作品です。

作品のコンディションは全体に良好です。
額は凸状の珍しい形で、絵画に合わせたと思われる彩色が施されています。オリジナルの状態を尊重し、裏面の紐（写真には写っておりませんが、付属いたします）・金具を交換、また額全体を磨き上げしております。作家の署名が右下にございます。

Helge Ernstは1916年にコペンハーゲンで生まれた芸術家です。独学で絵画を習得し、20代で画壇にデビュー。後には絵画に留まらず、イラストレーター・映画監督・学芸員・文筆家として幅広い才能を発揮しました。彼の絵画にはセザンヌや、ピカソらのキュビズムの影響が反映され、時代ごとに画風が変容しています。作品を几帳面に管理する性格であったようで、作品にはサインや作品サイズ等の裏書が数多く残されています。