【美術展訪問記】南桂子 銅版画展 – 静かな王国 2023年夏のコレクション展
こんにちは、シドゥです。
北欧絵画のギャラリーを運営していますが、北欧に限らず美術展が好きです。しばらくこの場を使わせていただき、美術展の記録を残していこうと思います。
本日はミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション"南桂子 銅版画展 - 静かな王国 2023年夏のコレクション展"に伺いました。
南桂子さんの作品は数年前に画集を見かけ、うわぁっ!素敵な雰囲気の作品だなぁと印象に残っていました。近年は生前のご活躍を知らない世代にも人気が再熱しているそう。谷川俊太郎さんなどの本の挿絵などでご覧になった方も多いかもしれません。
南桂子さんは画家になる前、童話を制作されていたそうです。パートナーの浜口陽三氏に銅版画を勧められ、日本とパリで勉強。早くから国際的に評価され、パリ現地画廊と直接契約を結んだ数少ない日本人作家だったとのこと。
わたしが思う南桂子さんの作品の魅力は、モチーフの多面性と余白のデザイン。
モチーフは女の子・木・鳥・水・魚など多岐にわたりますが、女の子にはわかりやすい表情がなく、また作品に表題はついていません。どう受け取るかを観る側に委ねられる点は、同じく展示されていた南さん作の童話と通じるものを感じました。
また銅版画は画材の質感が出せない分、モチーフの描き込みとレイアウトが命!かもしれないと思うのですが、南さんの作品はモチーフと余白のバランスがとても魅力的。デューラーを代表に"隅々まで描き込む"銅版画が伝統だったヨーロッパで、さぞ新鮮に受け止めれられたのではと想像しました。
ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションは東京の水天宮前駅から徒歩1分の距離にあります。
先出の童話作品や集めていた新聞の切抜きの展示、作品保護のためのカバーを薄くして見せてくださる取組など、南さんの魅力を余すところなく伝えようという意気込みが伝わってきました。
本日東京は隅田の花火大会です。水天宮前では浴衣で出かける方をたくさん見かけました。
毎日暑いですが、こうしてまた、季節のイベントが戻ってきたのはうれしい限りです。