【美術展訪問記】鹿児島睦 まいにち展
東京立川の PLAY!MUSEUM で開催されている"鹿児島睦 まいにち展"に伺いました。
鹿児島 睦(かごしま まこと)さんは福岡・博多を拠点に作陶しつつ、スウェーデンの陶器メーカー・グスタフスベリとの協業(写真7枚目)などデザイナーとしても世界的に活躍されています。
PLAY!MUSEUMは毎回、スペースをガラッと変えて楽しい展示をされていますが、今回も工夫あふれる内容でした。
実際に観ていただくのが一番ですが、せっかく写真が撮れたので、展示順に少しだけご紹介したいと思います。
まずエントランスは鹿児島さんが描いたかわいらしい猫と山羊(?)がお迎えです。
展示の最初は”あさごはん”と題したゾーンで、黄色と淡色メインの器が並びます。
ファンとしては、これだけたくさんのお皿を見られた時点で感無量ですが、展示はまだまだ続きます。
次に企業とのコラボレーションのお仕事の紹介です。写真は鹿児島さんと同じく博多を拠点とする和菓子の”鈴懸”さんのラッピングです。太線で描かれたお花と色遣いがものすごくカワイイです。
ミッフィーちゃんのお衣装デザインも手掛けられました。作者のディック・ブルーナさんの手法になぞらえ、服のパターンの線を点で描いたそう。
“ひるごはん”エリアは青・茶をベースにした器です。
お皿だけでもキュートなのに、なにかを乗せても映えそうなところが、アラビアやグスタフスベリの陶器との共通点を感じます。
作家の梨木香歩さんが、鹿児島さんのお皿をモチーフに書いた物語を合わせた展示です。
この展示を美しくまとめた本も販売されていました。
こちらは鹿児島さんが鋳型をデザインし、スウェーデンのグスタフスベリの工場で成形・手描きで絵付をした作品です。2023年現在もシリーズは増え続けているそう。
佐藤オオキさんの事務所”nendo”デザインのチェアに鹿児島さんデザインのファブリックをあしらったもの。北欧でも人気を博しそうです。
“ばんごはん”エリアは名前の通り、黒を基調にしたお皿が台座の上に浮かび上がるように飾られています。
パターンは器の形や周りのモチーフを見ながら決め、同じ絵柄はほとんど描かれないそうです。
“まよなか”ゾーンは、黒のお皿が目線の高さで鑑賞できます。このように作品をインテリアとして壁に飾るファンの方も多いそう。
(余談ですが、お皿を壁にディスプレイするのは、デンマークのロイヤルコペンハーゲンが展示会で始めたことが発祥という説があります)
鹿児島さんのインスピレーションになるもののひとつ。フィンランドのアラビア社のデザインで名高いビルガー・カイピアイネンの作品です。すみれなどを描いたパラティッシシリーズの原点を感じるような絵柄です。
写真は展示のごくわずかですが、魅力的な世界観が伝わりましたでしょうか…。
最後のエリアの制作風景のビデオを見ると、何工程にもわけて器に手が掛けられていることがわかります。
そうして作られた作品をもう一度見たくて、展示会エリアを何往復もしてしまいました。
鹿児島さんのファンの方もこれから知る方も、デザインが好きな方にはぜひ足を運んでいただきたい展示会です。
(最後に入口にあるカフェのメニューです。特に左下のイカ墨リゾットで、お皿の模様が再現されているのが可愛らしいです!)