【美術展訪問記】京都・奈良の美術館編
年に一度、奈良国立博物館で開催される正倉院展にあわせて、京都・奈良に旅行しました。
関西は素敵なギャラリーも多く、食べものもおいしく、楽しみにしていたひとり遠足です。
ラッキーなことに時期が重なり、銀座のルカスカンジナビアさんの京都展示に伺うこともできました。
いくつか美術館に訪問したので、駆け足になりますが、素敵なスポットをご紹介させていただければと思います。
1日目は河井寛次郎記念館に行きました。
東京にも日本民藝館という工芸品のように美しい記念館がありますが、こちらは民藝の主導者のひとり河井寛次郎の私邸を記念館にしたものです。
河井寛次郎は陶器製作を主としましたが、記念館では作品に加え、日本らしさ・素朴さがありながら洗練された建物や調度を見ることができます。
また記念館内に猫がいます。展示の間を歩いているのも新鮮でしたが、人なつこく体を擦りつけてくれたのがうれしかったです(下の写真の左下に鎮座している子です)。
下の写真は島原にある乙文さんという仕出し屋さんのお昼です。お料理はとても美味しく、優しい女将さんに島原に芸妓さんがいた頃の雑誌も読ませていただき、旅情を感じます。
2日目は午前中に東山の平安神宮近くの細見美術館に行きました。
こちらは写真がないのですが、建物が美しく、また伊藤若冲をはじめとした日本画コレクション量が素晴らしかったです。やはり若冲作品は出身地の京都にたくさん所蔵されているのですね。
新しく鈴木基一という画家についても知ることができ、1時間しかいられないことに後ろ髪を引かれつつ美術館を後にしました。
午後は少し足を伸ばし、市北側・龍安寺近くにある堂本印象美術館に行きました。
堂本印象は京都を拠点に日本画家、ひいては現代画家として活躍した方で、個性的な建物や建具も自らがデザインしたそう。
30歳前半にすでに日本画家として完成されたような絵を描いているのですが、さらに国際的な現代画家に転身しつつ、ステンドグラスや寺院襖絵を手がけるなど広い活躍がわかります。
存命中に自身の美術館まで建ててしまったエネルギッシュな活動は、10歳年上のピカソや20歳下の岡本太郎、またデンマークの芸術家のAsger Jornとの共通点を感じます。
ちなみに堂本印象美術館近くにKewというカフェがあり、グルメな友人がおすすめしてくれたレモン風味のドーナツが絶品でした。
(焦って写真を撮ってしまいましたが、実物はさらにキュートなビジュアルです!)
2023年秋現在は予約制ですが、ぜひ美術館と一緒にいらしてみてください。
美術館から金閣寺も徒歩15分程度と近く、バスも出ているため、市中心部からもアクセスしやすかったです。
3日目は、毎月第1日曜に開催される東寺のがらくた市を覗いてから、10月頭に予約した奈良国立博物館の正倉院展と、常設の青銅器館・仏像館に行きました。
東寺駅から近鉄線で、近鉄奈良駅に直行できるので便利です。
正倉院展は毎年お蔵出しされる宝物が変わりますが、今年の目玉は"楓蘇芳染螺鈿漕琵琶"。日本史図録でよく見る琵琶の実物を見ることができてうれしいです。
正倉院展が素敵だと思うのは、毎年詰めかけるわたしたち正倉院ファンが気持ちよく楽しめるよう、作品の他に拡大パネル等を設置することで人を分散し、かつ理解を深められるような展示であることです。
もう一つの目玉の平螺鈿背円鏡のように実物が小さい場合は、パネルから発見することも多く、長年蓄積された運営ノウハウを感じます。
その後に見た常設展では、特に青銅器館の寄贈された作品群が素晴らしく、奈良公園の散策と合わせて1日中でもいられそうでした。
今度は近くにある奈良県立美術館にも行ってみたいと思います。
京都市に戻ってからは、京都文化博物館の前田珈琲でお茶がてら、大塚オーミ陶業の展示を見せていただきます。陶板にプリントした世界の名画が手でさわれるというレアな体験をしました。
こちらの文博は錦市場近くにあり、アートイベントのチラシなどもたくさん置かれているので、休憩を兼ねた立ち寄りスポットにおすすめです。
最後に、京都で一番好きな御所内を散策して旅行を終えました。
1日平均2.5万歩と足が壊れそうなくらい歩きましたが、人とも美術とも新たなつながりができ、充実した旅行になりました^_^