【美術展訪問記】うるしとともに
泉屋博古館東京の企画展"うるしとともに"の最終日にすべり込み訪問しました。
テーマは"くらしのなかの漆芸美"。住友家の所蔵品に美術館のコレクションを加えた展示になっています。中にはマカオなど海外の作品も。
こちらは30名分の祝席膳の一部。
大阪船場の商店に特注した明治のものだそうですが、令和につくったと言われても頷ける状態のよさです。
朱漆を溜塗(漆絵を研いでから透明度の高い透漆を掛ける手法。なめらかな光沢と奥行きのある色合いが特徴)にした器群。美しい表面とすっとぼけ顔(蓋の正面側で手を上げている)の獅子の対比がユニークです。
泉屋博古館は、展示のキャプションもユーモアにあふれて楽しいです。
下の写真は"リラックスした作風が、酒席にぴったり"と表現された作品。琉球の技法で作られた猫脚がカワイイ。
蒔絵・螺鈿で描かれた季節の草花の五重盃。簡素で儚げな画と盃の薄さが美しいです。住友家で代々大切にされたものだそう。
展示ですごいなと思ったのが、蒔絵で青銅のような金属的な肌合いを出した変塗という技術。
明治後期に完成したそうです。写真は撮れませんでしたが"野菜盛籠図蒔絵額"という作品です。
リーフレットのデザインどおり漆のさまざまな面が紹介された展示でした。
漆器好きな方にはたまらない内容で、もっと早くご紹介できればよかったなぁと思います。
泉屋博古館東京は、六本木のビルの中に忽然と現れる、クラシカルな建物が印象的な美術館です。近くにスウェーデン大使館もあります。
次回3月から5月の展示は、明治以降の京都で活躍した幽玄の日本画家・木島櫻谷です。東京で見られることがあまりないので、とっても楽しみです!!