【美術展訪問記】永遠の都ローマ展

Blog

東京上野の東京都美術館で開催されている"永遠の都ローマ展"に行きました。

本展はイタリア・ローマにある世界最古の美術館のひとつ、カピトリーノ美術館の所蔵品で構成された展覧会です。

展示は双子の兄弟ロムルスとレムスに乳を与える牝狼の大量の作品からはじまります。彼らが後のローマを建国したことから、このモチーフが当時のローマで大人気だったそうで、何作品も登場します。

(展示から離れた余談ですが、ローマ時代の男性の名前は綴りが"us"や"um"で終わるものが多いです。
これはラテン語の発音に由来するそう。現代でもこの時代の英雄や賢帝にあやかり、子どもの名前をローマ(またはギリシャ)風にすることがあります。
最近GALLERI AKARIに作品をアップした"Jeppe Vontillius"もその一人かもしれません。)

展示会の目玉のひとつが、ヴィーナス像。
カピトリーノ美術館に専用部屋がある美女です。
同美術館から出ることはほとんどないそうですが、上野でも丁重に専用スペースが設けられています。
台座に立つ姿を見て"この光景、テレビで見たことある!"と思ったほどシンボリックです。
参考:NHKラーニング

横から見て発見したのですが、ヴィーナスの右手が胸元に触れそうで触れないでいる、1cm足らずの隙間があり、これがとても美しいです。
キャプションにも書かれていましたが、像がほとんど欠けのない状態で発見されたのは、歴代の持ち主が作品の価値を存分に認めていたからでしょう。

その後に展示されていた"トラヤヌス帝記念柱"も、レプリカではありますが、ローマを訪れた芸術家たちのインスピレーションになったというのが頷ける美しさでした(一番最後の写真です)
造られたのは113年頃ですが、数十トンの石のパーツをクレーンの要領で宙吊りにして積み上げ、30mを超える柱を立てたそうで、そうした技術があったことも驚きです。

展示点数は70点余りとあまり多くないですが、前1世紀から19世紀までの作品を一挙に東京で見られるのはとても貴重だと思いました。
また、石の彫像が欠けないように輸送するのはさぞ大変だっただろうなぁと裏側に思いを馳せました。

東京都美術館での展示は12/10まで、1/5からは福岡市美術館に場所を移しての開催です(ヴィーナス像は東京展のみ)