【美術展訪問記】Bhajju Shyam KYOTO 鎌倉遷展
鎌倉の東慶寺で開催されているBhajju Shyam KYOTO 鎌倉遷展に行きました。
以前のblogでも書きましたが、インドにはほのかな縁と憧れを感じており、今年はインドの展示に複数行けてうれしいです。
そしてなにより、展示のバッジュ・シャームさんの作品が素晴らしかったので、紹介させていただきたいと思います。
Bhajju Shyam(バッジュ・シャーム)さんはゴンド族の村で、インド中部の森にあるパタンガルの出身です。
ゴンド族に伝わる物語や表現を昇華し、現代的な作品を創り続けられています。
ヨーロッパで注目を集め、美しい手製本を作るインドの出版社・タラブックスで絵本も出版されています。
京都の東寺での展示に行けず、関東に来るのを心待ちにしていましたが、想像を超える作品群でした。
湧き上がる創作意欲を感じて、涙が出て来そうになったほどです。
特に圧倒されたのが、画面の描き込み。
例えば次の赤い作品全体にかかる黒いもやのようなものは、鉛筆のごとく細い線で画面を埋め尽くしているのです。
黒いもやはおそらく目に見えないものなのでしょう。
それを、もっとも手がかかる、けれども美しい方法で表現しきるところにバッジュさんの強い想いを感じました。
製作は構成から仕上げまですべて、ご本人が筆を執っているのですが、早いものはその日、大作でも数週間で描き上げるそう。
天才作家は筆が早いといいますが、バッジュさんもその一人なのかもしれません。
小さめの作品もありました。
1つ目の作品の素敵な額は、岡山の作家さんによるもので廃材を用いているそうです。
なお、作品をその場で購入することができるのもうれしいポイントです。
東慶寺の厳かだけれども風通しのいい雰囲気が、作品をより引き立てていたように思います。
短い期間の開催でしたが、またバッジュさんの新作を見られたらと熱望しています。